リカとアイ 9 夜7時。子供の頃なら家の夕飯支度の匂いが恋しくなる時間だ。 街灯がつきはじめようとする時間になるも、行き先が決まらない。 「あ、ペットショップだ」 リカがつぶやく。 この駅の近くに
リカとアイ 9 夜7時。子供の頃なら家の夕飯支度の匂いが恋しくなる時間だ。 街灯がつきはじめようとする時間になるも、行き先が決まらない。 「あ、ペットショップだ」 リカがつぶやく。 この駅の近くには、かなり大きな公園がある。 土日の昼などはバーベキューを楽しむ家族が数多く見られる。 ドッグランフィールドなどもあるので、こんな小さなペットショップも成り立つのかな、などと思っていると、リカが走りより、中を眺めはじめた。 「ちょっと入ってみようか」 僕は行き先を決められないダメな男を隠すかのように、店内に入るよううながした。 ペットショップ・・・なのだが、犬用品が多い。 大型犬の首輪とリードなど、この店の規模なら必要なさそうだがドッグランのある公園の側なら、必要となることもある・・・のだろう。 「・・・・」 首輪を見ながらリカが黙る。 そして僕をチラリとみる。 ・・・・ あ、なるほど。そういうことか。 まだあって数時間も経っていなかったが、僕は彼女のアイコンタクトを理解した。 「すみません、この首輪とリードをいただきます。」 リカの首にはその首輪がかけられていた。店員の目にはただのイタズラのように写っただのだろうか、反応は笑いながら首輪の値段を僕に告げるだけだった。 -- source link